競馬予想でﾜﾝﾓｱﾁｬﾝｽww

その代わりに､馬に乗れず､練習が出来ないということが苦痛になってきていた｡｢だいぶ調子はよくなってきたけど､まだ折れた骨はくっついてないな｡ここで辛抱しなきや｣まるで身体を壊したﾌﾟﾛ野球の選手が､試合に出場したいのに我慢して黙々とｼﾞﾑでﾘﾊﾋﾞﾘを続けているようなものだ｡清一は馬に乗りたいのを我慢して､とにかく怪我を治すことだけを考えた｡次のﾗｲﾄﾞであるﾜｲﾙﾄﾞ･ｳｴｽﾄ･ﾊﾟｲｵﾆｱ･ﾗｲﾄﾞは､今月末の二三日から三日間｡この三日間のﾗｲﾄﾞで二日完走しなければ､ﾃｳﾞｨｽ･ｶｯﾌﾟﾍの出場のﾁｬﾝｽはほとんどなくなってしまう｡ﾜｲﾙﾄﾞ･ｳｴｽﾄまでの日々は､菊花賞予想清一の体調調整と日本へやって来る馬の受け入れ準備に追われていた｡ｱﾒﾘｶ時間の五月一三日の深夜､〈ｱﾃｲﾅ〉〈ﾏｷﾅ〉〈ﾃｲｯｶｰ･ﾃｰﾌﾟ〉の三頭がｱﾒﾘｶを出発したという連絡が入った｡三頭は､日本に到着後､検疫繋留期間の一〇日間を成田で過ご
し､二六日に北軽井沢の牧場へ到着する予定だ｡牧場での受け入れ準備も早く進めなくてはならなかった｡五月二一日夕刻､清一は成田を発ち､ひとりでｻﾝﾌﾗﾝｼｽｺﾍ飛んだ｡馬の受け入れのために私は日本に残った｡今年最後のﾁｬﾝｽとも言うべきﾗｲﾄﾞに清一をひとりで送り出すことに不安はあつたが､三頭の馬の受け入れには私が責任を持たなければならなかった｡清一のﾃｳﾞｨｽ･ｶﾂﾌﾟ･ﾗｲﾄﾞ出場を懸けた正念場のﾜｲﾙﾄﾞ･ｳｴｽﾄまで､あと二日しかない｡結局､骨折した肋骨は完治せず､痛み止めの薬を飲みながら走るしかなさそうだ｡こうなったら運を天に任せるしかなかった｡